ヨーガンレールのOn the Beach 1
“美しかった日本を覚えています。
だから知って欲しいのです。こんなに汚れてしまったことを。
私はそのゴミを使って、何か自分が美しいと思うものを作り出す努力をします。ただ美しいだけのオブジェではなく、もう一度人の役に立つ実用的なものに変えましょう。
――ヨーガン レール”
この本は、汚されてしまった沖縄の海に警鐘を鳴らす目的で刊行されました。
ざらざらとした風体の表紙は砂浜を、透けるブルーの遊び紙は海を表現しています。
内容と完璧にマッチしている美しい装丁だと思います。
内容は前半が風景写真、後半が作品集として構成されています。
特に素晴らしいのが前半の風景写真。
ページを開いた左側に美しい沖縄の海の風景を、右側に人の手によって汚されてしまった景色を載せています。前半部分すべてに渡ってこの構成となっています。
この対比を見せられて危機感を少しも抱かない方はいないのではないでしょうか。
後半は打ち捨てられ砂浜にたどり着いたただのゴミを、ヨーガンレール自らの手で実用的な用途を持つランプとして生まれ変わらせています。数々の作品はとてもユニークでチャーミング。
美しい自然に対する深い愛のコンセプトと、装丁・内容や構成が、非常に高いレベルでデザインされている良書です。
せおぶんぐ